ズワイガニと紅ズワイガニの見た目の違いについて
タラバガニと毛ガニとズワイガニ。これらのカニたちは名前も違うし、見た目も違うので容易に見分けることができますが、ズワイガニと紅ズワイガニをちゃんと見分けられる人はそれほど多くはいらっしゃいません。
越前ガニや松葉ガニはズワイガニ
ズワイガニと紅ズワイガニ、この2種類のカニは形はよく似ています。そっくりといっても過言ではありません。
それもそのはず。両方とも十脚目ケセンガニ科の同じズワイガニ属の仲間です。
有名な「越前ガニ」とか「松葉ガニ」という名前は、ブランド名称であり、生物学的な名前ではありません。つまり、「越前ガニ」も「松葉ガニ」も生物としてはズワイガニ属ズワイガニ種(Chionoecetes opilio)です。このカニは本ズワイガニとも呼ばれたりします。
ズワイガニは、日本海、オホーツク海、カナダなどで水揚げされています。
ズワイガニが進化して紅ズワイガニになった
一方、紅ズワイガニは十脚目ケセンガニ科ズワイガニ属ベニズワイガニ種(Chionoecetes japonicus)です。
つまり、ズワイガニと紅ズワイガニは、同じズワイガニ属に属すカニですが、生き物として種が違うということです。
ただ、ベニズワイガニの起源は、もともとはズワイガニだったと考えられています。
氷河期の影響で、より深い海への移動を余儀なくされたズワイガニが、深海に適応するかたちで進化したのが紅ズワイなのではないかという説です。
また、紅ズワイガニとズワイガニは、一部で棲息圏が重なっていて、そこでは交雑種も発見されています。
ズワイガニは腹側がクリーム色。紅ズワイガニは裏も表も真っ赤
そんなわけで、紅ズワイガニは、本ズワイガニよりももっと深い海の底で暮らしています。
見た目も、ゆでられる前(生きているとき)から全身が紅色です。
新潟の海底での様子です。
水族館だとこんなふうです。
この美しい紅色は、ゆでられるとさらに赤くなります。
茹でられた紅ズワイガニは、裏も表も真っ赤です。
一方、生きている本ズワイガニはこんなです。生きているときは上面は褐色です。
本ズワイガニは、茹でられることこんな感じです。
表側(背中側)はきれいな赤。でも裏側(腹側)がクリーム色です。
かに道楽の動く看板のカニは、おなかの方がクリーム色なので、本ズワイガニだとわかります。
厳密にいえば、茹でられたあとの本ズワイガニですから、それが動くというのはちょっと不気味かもしれません。
ズワイガニと紅ズワイガニの味の違いについて
一般的に、食用のカニとして両者を比べた場合、本ズワイガニが高級とされています。
高級料亭なんかでもったいぶって提供されるのはまず本ズワイガニですし、カニの解禁の時期に芸能人がおいしそうに食べてレポートするカニはほとんどが本ズワイガニのブランドガニです。
その一方で、カニチャーハンとかカニグラタンとかカニコロッケとか、業務用の素材原料として使われるのは、大量に捕獲される紅ズワイガニが多いです。
平成24年の全国漁獲量でいうと、ズワイガニが4,400トン、ベニズワイガニが17,800トンであり、ベニズワイガニはズワイガニの約4倍捕れるって計算です。
一番わかりやすいのは、缶詰めです。
紅ズワイガニは缶詰の主要な材料なんですね。
紅ズワイガニは漁期も長く、安定して漁ができるので、ほぼ年間を通して食べることができるリーズナブルなカニなのです
だもんですから、紅ズワイガニには安かろう悪かろうという認識が定着しているのですが、最近ではブランド化される紅ズワイガニも登場しています。
実際、的確に選別されたタグ付きの紅ズワイガニは決して本ズワイガニに劣るものではなく、むしろ、その身の甘さとうまさは本ズワイガニを超えるとも言う人もいます。
厳密に選別されたものであれば、紅ズワイガニであろうともズワイガニにまさる食味、ズワイガニとは異なるカニの旨みの地平を提供できるという時代になっているのです。
どうか、巷の固定観念に惑わされることなく、あなたの舌を信じて紅ズワイガニを食べてみてください。
1000円で買える「未冷凍の紅ズワイガニ」のお試し品もあります。
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